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「痛くない」麻酔
「歯科治療で嫌なことを3つ挙げてください」という質問をしたら、必ずと言っていいほど答えに出てくるのが麻酔の注射ではないでしょうか。
敏感な歯ぐきに注射の針が刺さる。考えただけでもおっかないし、痛そうですよね。
当院でも、多くの治療で麻酔の注射を行います。もちろん普通にやると子どもは嫌がります。そこで痛みと恐怖を与えないように様々な工夫をしています。
注射をすることを悟られない
「注射をする」と聞くと誰しも身構えてしまうものです。子ども達には「注射」という言葉を用いず「バイキンを眠らせるお薬を使うよ」などと伝えます。もちろん注射器も子どもの目に触れないようにします。
表面麻酔を使用する
麻酔の注射で一番痛いのは針が歯ぐきに刺さるときです。そこで注射をする前にあらかじめ針が刺さる部分の歯ぐきの表面をしびれさせておきます。
通常は左の塗り薬で十分なのですが、恐怖心がかなり強く、ちょっとでも痛みを与えたくないときには右側の張り薬を使用します。
細い注射針を使用する
腕の注射で、献血用の太い針(中の空洞が見えそうですよね)は痛くて、点滴用の翼状針(ちょうちょみたいなのが付いている針)はそれほど痛くなかったという経験をされた方も多いと思います。
一般に注射針の太さが細いほど、痛みは少ないと言われています。針の太さはG(ゲージ)と呼ばれる単位で決められていて、血管の注射で使われるのは21G(直径0.8mm)~23G(0.65mm)辺りです。当院で通常使用するのは33G(0.26mm)、およそ1/3の太さです。
上が21G(直径0.8mm)、下が33G(0.26mm)です。写真で見るといかに細いかがお分かりいただけると思います。
気づかれないように針を刺す
いくら表面がしびれていて、針が細いと分かっていても、やはり刺される瞬間は怖いものです。子どもの視界に注射器が入らないように慎重に針を進めていきます。
ゆっくりと麻酔液を注入する
無事に気づかれないように痛みを与えず針を刺すことができました。嫌な麻酔はさっさと終わらせてしまいたいところですが、ここでもひと工夫必要です。
実は注射のときの痛みには2種類あって、一つは針が刺さるときの痛み。そしてもう一つが注射液が体の中に(この場合は歯ぐきに)入ってくる痛みです。これは液をゆ~っくりと注入することで防ぐことができます。
ゆ~っくりと、安定した速度で麻酔液を注入するために当院では電動注射器を使用しています。
当院で使用している電動注射器は、注入速度を自動でコントロール(ある程度液が入ったら速度を上げてくれる)してくれます。一応、普通の注射器もあるのですが、この記事を書いている時点ではまだ一度も登場していません。
いかがでしょうか。ここまで読んでいただけると少しは麻酔も怖くなくなってきたのではないでしょうか?
(でも、この記事をお子さんが見るとやっぱり怖いんだろうな…)