NiKOブログ

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2011.06.30

とっても上手にできる子が診察中に突然歯を閉じる理由

歯科治療を全く怖がらず、いつもニコニコで来院するAちゃん。

いつものようにお口の診察をしていると、突然「アムッ!」と歯を閉じるAちゃん。
危うくデンタルミラーをかじられそうになる私。

ところがAちゃんはいつものようにニコニコ顔。嫌がっているわけでも、イタズラでかじったわけでもなさそうです。

さて、なぜAちゃんは突然歯を閉じてしまったのでしょう?

この日私がAちゃんに行っていたのは口腔内診査(こうくうないしんさ)。お口の中を隅々まで見渡して異常がないか調べます。
もちろん歯1本1本についても診査し、その結果をアシスタントに記述してもらいます。

「この歯は大丈夫。この歯は噛み合わせの部分がちょっとアヤシイな。その隣は・・・」と診ていくわけですが、「この歯」ではいったい「どの歯」なのかがアシスタントに伝わらないのでそれぞれ「歯の名前」で呼びます。

図のように歯にはそれぞれ名前がついています。
真ん中の前歯が中切歯、その隣が側切歯・・・といった具合に。

それに左右と上下の区別をつけて、「右側上顎側切歯(うそくじょうがくそくせっし)」とか「左側下顎第一大臼歯(さそくかがくだいいちだいきゅうし)」などと呼びます。

長いですよね。活字ならまだしも耳から入ってきたときには一瞬ではどの歯を指しているか分かりにくいです。

もうちょっと縮めると「右上側切歯」「左下第一大臼歯」になります。
ただこれも言いにくいです。

もういっそのこと「前から○番目の歯」でいいじゃないですか。皆さんも歯医者さんで「右下の2番目の歯が痛いんです」とか言いませんか?

そんなわけで真ん中から1番、2番・・・と数えていきます。
つまり、
中切歯=1番
側切歯=2番
犬歯=3番
(中略)
第二大臼歯=7番
第三大臼歯(親知らず)=8番
といった具合に。

これに左右上下を加えます。先程の例だと「右上2番」「左下6番」ですね。かなりスッキリしました。

さて、ここまでは永久歯のお話。
子どもの場合乳歯があります。

乳歯にもそれぞれ名前がついています。対応する場所の永久歯の名前に「乳(にゅう)」をつけて「乳中切歯(にゅうちゅうせっし)」「第一乳臼歯(だいいちにゅうきゅうし)」などと呼びます。

やはりこれも長ったらしいので番号で呼ぶのですが、先程のように真ん中から1番、2番・・・と呼んでしまうと5番目まではそれが乳歯なのか永久歯なのかが分からなくなってしまいます。

そこで乳歯は真ん中からアルファベットで呼ぶようにします。
乳中切歯=A
乳側切歯=B
乳犬歯=C
第一乳臼歯=D
第二乳臼歯=E
ですね。

左右上下をつけて「右上B(みぎうえびー)」「左下E(ひだりしたいー)」となります。

さて、話を最初のAちゃん(乳中切歯ちゃんではありませんよ、念のため)に戻しましょう。

勘のいい方ならもうお気づきかもしれませんが、Aちゃんが歯を閉じたのはちょうど奥歯を診ているときでした。

第二乳臼歯のことをアシスタントに伝えようと「右上Eが・・・」と私が言ったのを「イー(ってかじって)」と言われたのだと勘違いして「ガチッ」と歯を閉じてしまったというわけです。

実は「E」と言って「イーッ」とされることは時々あります。
この歯の呼び方は全国共通で今更変えることはできません。
たいして困ってはいないですが、子どもが勘違いしない何か良い方法はないでしょうかね?