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知らないうちにむし歯になる!?清涼飲料水の危険性
暖かくなるにつれ、お子さんが外で遊んだり、スポーツで汗を流す機会が増えることと思います。
暑い日やスポーツ時にスポーツドリンクなどの清涼飲料水を飲むお子さんは多いですが、知らないうちにむし歯の原因になっていることをご存知ですか?
今回は、そんな「清涼飲料水の危険性」についてお話します。
目次
1. 意外と知らない!清涼飲料水に含まれる驚きの糖分量
「清涼飲料水」という言葉をご存知の方は多いのではないでしょうか。
お店や自動販売機で買うペットボトルなどの飲みものの大半は、清涼飲料水に分類されます。
ジュースや炭酸飲料、お茶やミネラルウォーター、スポーツドリンクなど、その種類はさまざまです。
気温が高くなると、熱中症予防や脱水症状を避けるためにも飲みものは欠かせませんが、意外と知られていないのが「清涼飲料水の糖分量」です。
これらは、500mlのペットボトルに含まれる糖分量の一例です。
- スポーツドリンク 20g〜35g
- 炭酸飲料 40g〜65g
- 果汁入りジュース 50g〜60g
- 紅茶飲料 20g〜33g
- フレーバー付きミネラルウォーター 23g〜27g
一見わかりにくいかもしれませんが、スティックシュガー(3g/本)や角砂糖(4g/個)で換算すると、その糖分量がどのくらいかを実感できると思います。
ニコ小児歯科医院の待合室でも、代表的な清涼飲料水に含まれる糖分量を表示していますが、「こんなに糖分が入っているんだ」と驚かれる方も少なくありません。
炭酸や冷たさで甘さを感じにくく、糖分を摂取しているという自覚がないことが多いため、注意が必要です。
2. スポーツドリンクは身体によい!?清涼飲料水が与える本当の影響とは
「スポーツドリンクは身体に良い飲みもの」というイメージをお持ちの方は多いかもしれません。
つい「熱中症予防や水分補給としてスポーツドリンクが最適」と思いがちですが、実は糖分が多く含まれており、飲み過ぎることによって次のような影響があると考えられます。
- むし歯になりやすくなる
- 血糖値が高くなり、より喉が渇く
- 糖尿病の危険性が高くなる
- カロリーの過剰摂取
実際にむし歯で来院される患者さんで「ジュースやスポーツドリンクを毎日飲んでいる」という方も多いです。
糖分を含む飲みものを頻繁に飲むことによって、むし歯ができやすくなるのです。
また、ペットボトルで手軽に飲めることから清涼飲料水をついつい飲み過ぎてしまい、知らず知らずのうちに過剰に糖分を摂取した結果、「ペットボトル症候群」と呼ばれる急性の糖尿病を引き起こす危険性もあります。
ジュースは味も甘いため糖分が多いことを知る方は多いですが、「ストレートティー」と表記された紅茶飲料が「無糖」ではないことを知らない方や、味や香りのついたフレーバーウォーターをミネラルウォーター代わりに飲む方もいらっしゃいます。
そのほか、「果汁100%ジュースはむし歯になりにくい」と思われることもありますが、果物自体にも十分糖分が含まれているため、むし歯のリスクは他のジュースなどと変わりません。
また、味も甘く飲みやすい加工がされた野菜ジュースや腸内環境の改善目的の乳酸菌飲料など、「身体によい」と思っているものの中にも、多くの糖分が含まれている場合があるため、気をつけましょう。
3. 清涼飲料水を飲む際の5つの注意点
清涼飲料水が糖分を多く含んでいるとはいえ、親戚やお友達の家でジュースが出ることもあれば、お子さんが欲しがることもあるでしょうし、全く飲まないような生活を送るというのは難しいでしょう。
そこで、清涼飲料水を飲む際に気をつけたい5つのポイントをご紹介します。
(1)毎日飲まない
日常的に飲むことは、糖分とカロリーの過剰摂取につながります。
一週間のうちに「飲む日」と「飲まない日」を決めるとよいでしょう。
(2)飲む日は一日一回、時間や量を決めて飲む
だらだらと飲み続けることによって、むし歯のリスクが高くなります。
また、欲しがるだけ飲んでしまうと、やはり糖分のとり過ぎを招くことにもなります。
飲む時は、おやつのように時間や量を決め、一度に飲むようにしましょう。
(3)寝る時間が近づいたら飲まない
唾液にはお口の中でむし歯を作りにくくするはたらきがありますが、寝ている間は唾液が減少してしまうため、むし歯のリスクが高くなります。
「お風呂上がりにスポーツドリンクを飲む」という習慣がある方もいらっしゃいますが、オススメできません。
歯みがきをしたとしても、寝る時間が近づいてからの飲食は控えましょう。
(4)水分補給は「水」か「麦茶」がベスト
暑い夏や通常のスポーツ時には「水」か「麦茶」がベストです。
スポーツドリンクは熱中症に有効な電解質が含まれていますが、その量は決して十分とは言えません。
脱水症状まで引き起こしている場合は、体内の吸収率が最もよい「経口補水液」が最適ですが、通常の水分補給は「水」で十分ですし、ミネラルを含む「麦茶」もオススメです。
また、水筒はペットボトルと同様に少しずつ飲むため、清涼飲料水を入れることは避けましょう。
(5)味覚形成への影響を考え、3歳までは甘いものをわざわざ与えない
子どもは特に甘味が大好きなので、注意が必要です。
大きくなるにつれ、甘いものを口にする機会は自然と増えますが、小さい頃から甘党であればその後の味覚のコントロールが難しくなると言われています。
そのため、必要以上に甘いものを与えることは好ましくありません。
乳児の水分補給や寝かしつけの際に、哺乳瓶にミルク以外のジュースや赤ちゃん用のスポーツドリンクを入れて与える方がいますが、絶対にやめましょう。
4.意識することから始めよう!糖分摂取量のガイドライン
2015年3月に世界保健機関(WHO)が発表した「糖分摂取量のガイドライン」があります。
そこでは「肥満やむし歯を予防するため、一日あたりの糖分摂取量は総エネルギー摂取量の5%以下に抑えることが望ましい」とされています。
ここでの「糖分」は、加工や調理などで食品や飲料に加えられる砂糖などのほか、蜂蜜、シロップ、果汁や濃縮果汁など自然に存在する糖類も含まれています。
それでは、実際に「総エネルギー摂取量の5%以下」がどのくらいか、目安をみてみましょう。
- 幼稚園児:15g(ティースプーン3〜4杯)
- 小学生:20g(4〜5杯)
- 中高生以上:25g(5〜6杯)
次に、子どもが大好きなお菓子などに含まれる糖分を比較します。
- ショートケーキ(1個100g):30g
- アイスクリーム:20g
- プリン:15g
- アメ(1個):3〜4g
- ジュース、スポーツドリンク(500ml):20g〜50g
- 乳酸菌飲料:10〜15g
驚くべきことに「ジュース1本を飲むだけで一日の上限量を軽々と超えてしまう」ことがわかります。
もちろん、このガイドラインをしっかりと守ることはかなり難しいですが、お子さんの健康のためにも日ごろから少しずつ意識することは大切です。
例えば、「今日は甘いものを多く食べたから、明日は控えよう」など、一週間の糖分量を把握し、コントロールするところから始めてはいかがでしょうか?
まとめ
今回は、知らず知らずのうちに糖分を摂取してしまう清涼飲料水についてご紹介しました。
お子さんのおやつは「お菓子とジュース」というご家庭も多いのではないでしょうか?
次回は、子どもには欠かせない「お菓子・おやつ」についてご紹介しますので、そちらもご覧ください。