むし歯の治療について
小さなお子様にとって、歯科医院で行うむし歯の治療はとても緊張するものです。当院では、お子様が恐怖心を抱くことなく、安心して治療を受けられるような環境づくりを大切にしています。乳歯のむし歯を放置してしまうと、その後に生えてくる永久歯の質や歯並びにも大きな悪影響を及ぼすことがあります。「健やかな永久歯への正しい生え変わり」を無事に迎えるためにも、早期発見と適切な治療、そしてお口の環境改善を並行して進めてまいります。

当院のむし歯治療のこだわり

Point.01
むし歯の原因から考える
当院では、ただ目の前にあるむし歯の穴を埋めて終わりにする治療はいたしません。「なぜむし歯ができてしまったのか」という根本的な原因に着目します。普段の食生活やブラッシングの習慣、お口の癖などを丁寧にお伺いし、原因を一つひとつ紐解きながら、治療後も再びむし歯を作らないためのお口のベース作りを親御様と一緒に考えてまいります。

Point.02
適切な時期に適切な処置を
むし歯が見つかったからといってすぐに削るのではなく、経過観察が可能かどうかを慎重に判断します。経過観察も「ただ様子をみる」のではなく、それ以上むし歯を進行させないための対策を親御様と一緒に考えていきます。もし処置が必要だと判断した場合には、いたずらに先延ばしをせず治療を行います。お子様が嫌がることもあるかもしれませんが、安全面と心理面に十分に配慮した上で処置を進めていきます。

Point.03
お子様の将来の歯のことを第一に
乳歯は永久歯を正しい位置へと導くための大切な道標としての役割も担っています。当院では、その場限りの見た目を整えるだけでなく、将来的に生えてくる永久歯が健康で美しく並ぶことを見据え、お子様の成長段階に合わせた適切な治療法や材料を選択し、お口の健やかな発育を第一に考えた診療を行います。
むし歯の進行度と治療方法
むし歯はその進行度合いによって、適切なアプローチが異なります。
CO

初期のむし歯
まだ歯に穴が空いていない段階であれば、歯を削る必要はありません。高濃度のフッ素塗布を行い、丁寧なブラッシングを継続することで、歯の再石灰化を促して観察を続けます。
C1

エナメル質のむし歯
歯の最表層にある硬いエナメル質だけが溶けてしまった段階です。まだ痛みはありませんが、放っておくと中で進行してしまいます。治療では、むし歯になってしまった部分だけを優しく丁寧に取り除き、白い歯科用のプラスチックを詰めて、その日のうちに綺麗に修復します。
C2

象牙質のむし歯
エナメル質の内側にある「象牙質」という少し柔らかい組織までむし歯が進んだ段階です。冷たいものや甘いものがキーンとしみるようになり、お子様が異変を訴えることも増えます。むし歯に感染した部分を除去し、歯科用プラスチックを詰めたり、範囲が広い場合は被せ物(既製冠)を用いて修復します。
C3

神経まで達したむし歯
むし歯がさらに奥深くへ進み、歯の神経まで達してしまった段階です。何もしなくてもズキズキと激しく痛むようになり、夜眠れなくなることもあります。お子様の将来の永久歯への影響をできる限り少なくするため、根っこの中の神経の治療(根管治療)を丁寧に行い、最終的には乳歯用の被せ物などをして歯全体をしっかりと保護します。
C4

歯の根元まで進んだむし歯
むし歯によって歯の頭の大部分が溶けてなくなり、根っこだけが残ってしまった最悪化の段階です。神経が死んでしまっているため一時的に痛みを感じなくなることもありますが、根っこの先で細菌が増殖し、次に生えてくる永久歯の発育や歯並びを著しく阻害してしまうリスクが非常に高い状態です。
保隙装置について
C4などの重篤な状態になり、大切な永久歯を正しく迎えるためにやむを得ず乳歯を途中で抜かなければならなくなった場合、そのまま放置すると両隣の歯が空いたスペースに向かって倒れ込んできてしまいます。そうなると、次に生えてくる永久歯のスペースが完全に塞がれてしまい、将来の歯並びが大きく乱れる原因になります。当院ではこのようなケースにおいて、永久歯が生えてくるための大切なスペースをあらかじめ維持しておくための「保隙装置(ほげきそうち)」という特別な装置を用いた治療をご提案し、お子様の将来の噛み合わせを守るアプローチを行います。
歯周病の治療について
歯周病は大人がかかる病気だと思われがちですが、実は小さなお子様であっても日常的に発症するリスクがあります。子どもの段階で見られる歯周組織のトラブルの多くは、歯ぐき(歯肉)だけに炎症が起こる「歯肉炎」と呼ばれるものです。子どもの歯肉炎は、大人の歯周病のように骨が溶けるところまで進行することは稀ですが、放置すると炎症が慢性化し、将来的に本格的な歯周病へと移行しやすくなります。早いうちから正しい知識を持ち、健康な歯ぐきを育てることが重要です。

歯周病の原因

子どもの歯周病(歯肉炎)の主な原因は、大人と同様にお口の中に停滞する「プラーク(歯垢)」という細菌の塊です。歯と歯ぐきの境目や、歯と歯の間に磨き残したプラークが溜まると、そこから出る毒素によって歯ぐきが炎症を起こします。特にお子様はブラッシングが未熟なことが多く、さらに成長期におけるホルモンバランスの変化や、お口での呼吸(口呼吸)による口内の乾燥なども、プラークの毒素を強めて炎症を引き起こす大きな要因となります。
子どもの歯周病のサイン
お子様の歯ぐきに以下のような変化が見られたら、それは歯周病の初期症状である「歯肉炎」が始まっている大切なサインです。痛みがないことが多いため、保護者様が日頃から意識的に観察してあげることが早期発見につながります。
歯磨き中や硬い食べ物を食べた時の出血
歯ブラシの毛先に血がついたり、リンゴなどの硬いものを食べた後に歯ぐきから出血したりする場合は、炎症が起きている可能性が高いです。
歯ぐきの赤みや腫れ
健康な歯ぐきは薄いピンク色で引き締まっていますが、炎症があると赤く腫れ上がり、ブヨブヨとした質感になります。特に歯と歯の間の三角形の部分が丸みを帯びて腫れているのが特徴です。
口臭が気になる
お口の中の細菌が繁殖し、炎症物質が溜まることで、独特の口臭が強くなることがあります。朝起きた時や、お子様の息を近くで感じた時に以前と違う臭いがする場合は注意が必要です。
お口の中のネバつき
寝起きなどにお口の中がネバつく感じがするのは、細菌が繁殖しやすい環境になっている証拠です。
子どもに多い歯肉炎の種類
不潔性歯肉炎
毎日のブラッシング不足が原因で起こる、非常に多く見られる歯肉炎です。歯の周りにプラークが長期間溜まることで、歯ぐき全体が赤く腫れてしまいます。
萌出性歯肉炎
新しく永久歯が生えてくる際(特に6歳臼歯など)、歯ぐきを突き破って生えてくる途中で、その周囲に汚れが溜まりやすくなることで一時的に起こる歯肉炎です。
思春期性歯肉炎
小学校高学年から中学生頃の思春期にかけて、体内のホルモンバランスの変化に伴い、歯ぐきがプラークに対して過敏に反応し、激しく腫れやすくなる歯肉炎です。
お子様のために保護者の方ができること

お子様の健康な歯ぐきを守るためには、保護者様による毎日の優しいサポートが必要不可欠です。どれだけお子様自身が一生懸命に磨いていても、細かい隙間の汚れを完全に落とすことは難しいため、小学校低学年頃までは保護者様が必ず仕上げ磨きを行ってチェックしてあげてください。また、バランスの取れた食生活を意識し、お口がぽかんと開いて乾燥していないかなど、日常のちょっとした変化に目を配っていただくことも、大切な歯周病予防につながります。
むし歯が治ったら定期健診をおすすめします
がんばって治療を終えてむし歯や歯ぐきの炎症が治まったお口は、いわば健康な状態にリセットされたスタートラインです。しかし、そこから以前と同じ生活習慣やブラッシングを続けてしまえば、高い確率でむし歯や歯肉炎は再発してしまいます。新しく手に入れた綺麗な状態を長く維持し、これから新しく生えてくる永久歯を正しく守っていくために、治療終了後は数ヶ月に一度の定期健診への移行をおすすめしております。プロのケアを習慣にしながら、お子様の健やかな成長のステップを一緒に支えていきましょう。

